契約書に流れでサインした次の日。
アークライト家に向かった俺は、家の前で手を降るハンネスを見つけた。

「待ってました。」
「なんで敬語?」
「仕事場なので。今日は主人がでかけているようなので、今日は私も君も自由です。そこで提案ですが、これから予定はありますか?」
「いや、ないけど」
「ならよかった。んっん゛・・・」

彼はバトラースーツのネクタイを外し、ワイシャツのボタンを第2ボタンまで外すと、俺を見てこう言った。

「んじゃ、ちょっと遊びに行かね?」




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十分後。

「なぁハンネス」
「ハンスでいいって。わざわざ面倒だろ?」
「・・・」

キャラが変わりすぎて反応できん・・・

「なぁハンス、どこに行くんだ?」
「喫茶店。俺の友人がやってる店なんだ。」
「へぇ・・・そいつもイレイサーなのか?」
「ああ、俺の同期だよ・・・ついたな」

そこは、どこにでもありそうな喫茶店だった。ただ・・・

「Closeって・・・」
「俺が頼んで週一で貸しきりにしてるんだ。入るぞ」
「お、おう・・・」

カランコロン・・・
扉の音も普通だ。

「おう、いらっしゃい」
「おっせーぞぉ!」
「遅かったですね。待ちくたびれました」
「相変わらず綺麗な体してるねぇ」
「最後の一人いらないだろ。トーマ、アイスコーヒー二つ。」
「あいよー」
「な、なぁハンス」
「ああ、わかってる。とりあえず座れ」

指差された席に座ると、下半身が赤色の蛇の女性が、俺の顔を覗いてきた。

「どうしました?」
「敬語なんか使わないで!ウチはリン。仲良くしよー?」
「ん、おう。・・・もしかして、ナーガ?」

獣人の中にはナーガという種族がいる。
下半身が蛇で、炎を使う種類だったはずだ。

「違う違う!ウチはエキドナ。ナーガの神種よ?」
「神種なのか・・・」

神種。それは、とある種族が突然変異を起こし、通常よりも強い力を得る。
ただ、その代わりに何かを失う可能性がある。

「珍しいかい?」
「いやぁ・・・俺も神種の子どもだからな~」
「へぇー!じゃあ君も神種?」
「うんにゃ、俺は人間。」
「あんた人間なのかい?神種の子どもなのに?体を調べつくし(へぶぅ」
「余計な事言うな変態!」
「叩かなくてもいいじゃないかぁ・・・」
「そうですよ?美しい女性の肌にキズがついてしまいます。」
「ハンス、すぐ人を叩くクセは直した方がいいぞ?」

ことん、とアイスコーヒーが置かれる。

「とりあえず自己紹介な。俺はトーマ=アイギス。普段はこの喫茶店をやっているんだ。まぁイレイサーでもありハンスの同期だよ。よろしく」
「よろしく、ラー・イグニアだ」
「俺は前にもしたがハンネス・グラハム。あらためてよろしくな」
「リン・ローレンだよ!よろしく!」
「リューナと申します。ウンディーネです、よろしくお願いいたします。」
「相変わらずあんたは堅苦しいねぇ・・・アタシは御霊。よろしくねボウヤ」

一通り自己紹介が終わると、リューナが聞いてきた。

「ところでイグニアさん、新人戦には出るのですか?」