次に気がついた時、ラーは闘技場の医務室だった。そして半開きの目に入ったのは泣きそうな穂香の顔と、真面目な顔のレミさん、無表情だが目が潤んでいるエミリアちゃん、楽しそうに話をしているハンスとトーマさんだった。

「っつつつ・・・」
「あっ・・・ラー・・・!」
「あんたっ!大丈夫!?」
「お兄ちゃん大丈夫?」
「やっと起きたかぁ」
「お疲れさん。大丈夫か?」

「え・・・?なんで・・・?ここに・・・?」

全く状況が掴めていないラーに対し、トーマさんが詳しい説明をくれた。
あのあと、ミストルティンはリベッティオの体に命中、戦闘不能にしたらしい。
だがリベッティオが投げた槍はワンテンポ置いてラーの体に突き刺さり・・・
と、言うことらしい。

「先に倒れたのはリベッティオだったから、勝者はお前なんだがな・・・」
「不幸だなぁお前w」
「ハンスお前・・・いてて・・・」

もそもそとベットから起き上がり、上着を着る。

「ラー、大丈夫?」
「ありがとう。大丈夫だから」

穂香はいまだに心配そうだ。そこで、少し頭を撫でてやった。気持ち良さそうな顔はとてもかわいらしい。
そんなことをしていると、ハンスが俺に話しかけてきた。

「お前の事を王が呼んでたぞ。本当は闘技場の真ん中で商品の受け渡しがあるはずだったんだが、お前がダウンしちまったからな。王宮に顔出しとけ」
「お、了解。」

穂香の頭から手を離し、準備を整える。

「んじゃ、行ってくるわ」
「「「いってらっしゃーい」」」

俺は医務室から出た。