エミリアちゃんがアークライト家に来た次の日から訓練は始まった。と、言ってもスペル訓練なのだか。

「・・・意外とスペルの才能あるよ。」
「まだっ・・・一発も・・・出てないけどっ・・・!」
「・・・そうね、出ないね」
「ふぉぉぉぉ・・・!」
「出ねぇじゃねぇかww」
「ハンスは黙れ・・・!」

そんなこんなで新人戦になった。
なんかもう、色々楽しかった記憶しかないが・・・




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新人戦当日、開会式はかなり盛り上がっていた。

〔さぁ、お前らー!毎年恒例の新人戦だぁーー!今年の新人は30人!熱い戦いを繰り広げてくれよー!!!〕
「「「「「おぉーー!」」」」」
〔開始は20分後だ!きっちり準備して戦いに挑んでくれー!〕
「「「「「おぉーー!」」」」」

この後、トーナメント表が発表された。

「俺は・・・A-7か。相手は・・・っと、知らない奴だ。」
「当たり前だろ、お前新人の中で知ってるやついんのかよ」
「いない(笑)」
「いや、お前ぶっとばすぞw」
「ごめんてwごめんてw」
「あんたたち遊びすぎよ!」
「・・・そうだよお兄ちゃん。もうすぐ大会なんだよ?」
「そうだね・・・って、エミリアちゃんその服は?」

彼女の服は昨日と違い、白と黒のメイド服を着ていた。

「ハンスお兄さんがくれたの。」
「ハンスッまさかお前ロリコ・・・」
「バカ言うな。こいつは穂香から渡されたんだよ。」

話によると、昨日の帰りに遅くなったのは教会で穂香に会っていたからだという。
エミリアちゃんの事を話すと、「女の子!?小さい!?どれぐらい!?」とテンションが上がり、そのノリで服まで頼んだらこの結果、とのこと。

「アイツ幼女好きだったのか・・・」
「アイツも充分こどもだがな」
「そろそろ試合開始よ?行かなくていいの?」
「あ、ヤベ!じゃーな皆!また後で!」

俺は控え室へ走り出した。すると、

「お兄ちゃん!頑張って!」

その声は、なんとかラーに届いていた。








新人戦の一回戦、二回戦はスペルを使うことなく勝てた。

「余裕余裕~」
「お前案外恐い奴だな・・・」
「んー?なんで?」
「なんでもねぇよ・・・」
「「おい!見ろよあれ!」」

突然沸き上がる歓声。隣の会場からだった。その戦いは見覚えのある少女の戦いだった。

「穂香だ!」
「さすがはお前のライバルだな。この短時間で腕を上げてる。」
「これはマジにならないとなぁ」
「最初からそうしろよ。」
「はーい。んじゃ準決勝行ってきまーす!」
「頑張れよー!」


ラーが戦いに向かった後、少し時間をおいてからトーマが到着した。

「遅かったなトーマ」
「ああ・・・少し情報集めを、な。」
「情報?」
「・・・次、あの狐の少女が戦う相手、
分かるよな」
「おう、確かリベッティオ、だったか?」
「そう、そいつなんだが・・・」
「なんだよめんどくせぇ。さっさと言えよ。」
「・・・正直、あの狐の少女では勝てない。ラーでさえも苦戦、もしくは負けるだろうな。」
「は!?なんだそりゃぁ!?」
「リベッティオのスペルは光。目に見えないスペルだ」
「んなもん、風のスペルだって似たようなもんだろ。若干見えるが。」
「それは・・・そうなんだが、どうにも事情が違うらしい。」
「・・・というと?」
「奴の武器は槍、しかも聖槍ブリューグント。矛先のばかでかい槍なんだが・・・」
「待て待て待て。なんで新人風情がブリューグントなんざ持ってんだよ」
「あいつ、名家エルフィーンに雇われたらしいんだ。その主人、イルギル=エルフィーンは今回の新人戦で自分の家の力を示そうと、新人であるリベッティオにブリューグントを授け、戦闘教育を行ったって話だ。」
「名家エルフィーン・・・。アークライト家よりも勢力は低いと聞いていたが・・・」
「俺も意外だった。まさか聖槍を持っていたなんてな。」

そんな話をしていると、大きな歓声が上がった。

「お、ラーのやつ張り切ってんなぁ」
「このままエルフィーン家のクズまで倒してくれるといいんだが。」
「だよなぁ」

そんな話をしていると、穂香が戦っている会場が突然騒がしくなった。

「んぁ?もしかして勝っちまったんじゃねぇ?」
「かもなぁ・・・・・・・・・・あ!?」

そこに広がっている光景。それは、気を失った穂香と、首筋に矛先を突きつけるリベッティオの姿だった。