-バイト-


高校2年の春。

私は高校近くのパン屋でバイトを始めた。

バイト禁止と言いながら、周りの友達もみんなバイトをしていた。



「今日からお世話になります」



「初めまして。こちらこそよろしくね」


バイトの先輩に挨拶をした。

どうやら、この清楚な女性が私の教育係のようだ。


「楽しい人ばかりだから、気楽に頑張ろうね」


笑顔がまぶしいくらいに素敵な女性。

こんな人になれたらいいなと、話した瞬間に感じた。


「私、矢沢直。専門学校に通ってるんだ」


「私は、小椋モミジといいます」


矢沢さん、と呼んでいたのは、最初の日だけ。

すぐに直さんと呼ぶようになった。