-好きな人は体育の先生-
月曜日の2限目。
だるくてだるくて、数学の授業を抜け出した。
友達と廊下にしゃがみ込んで、窓から差し込む光を見つめていた。
「こらぁ~!!授業中に何してんだ?」
大きな声。
大きな体。
っ、誰だよ!
せっかく気持ち良くサボッてんのに。
「今、授業中だってわかってるか?」
見上げた私の上に立っていたのは
超爽やかな先生だった。
「は~い」
適当に返事をした私達に向かって・・・・・・
「授業中に抜け出してるからこそ話せることもあるんだよな」
ニヤリと笑って。
そんなことを言ってくれた。
何、この人。
教師だよね?
なんで?
なんで怒んないの?
「そうそう、いろいろ悩みもあるんですよ~」
と友達が言う。
「でも、今は授業中だ。ほら、早くたて!」
黒い肌に白いジャージがよく似合う。
腕まくりした腕の筋肉がハンパない。
「仕方ねぇな」
とため息をつきながら、私達の頭をコツン、コツンと叩いた。
それが最初の出会いだった。