「俺の直感だけどね」
知るか、そんなもん。
「こんなの使い方知らない。あたし、アロマなんて使ったことないもん」
違うのに。
「かしてみ。」
カイはあたしの手からすっと、アロマセットを持ってゴソゴソと準備しだした。
違う。
使ったことない話なんてどうでもいいし、そんなこと言いたかったんじゃない。
違うっていうのに……。
カイが手慣れた手つきでライターからアロマに火をつけると、じわじわと匂いが充満していく。
「うん。やっぱりこれがいい」
初めて嗅いだ匂い。
さっきまでのダシの良いにおいが、すぐに消えていく。
なんだか、この匂いにまったく慣れてないから違和感さえ感じる。

