「なぁ、好きな男とかいないのか?」
俺は、頭の中で考えるだけでは収まらす、美沙に聞いていた。
「何よ、急に」
「いや、そいつに、俺と一緒に居るところなんて見られたら、まずいんじゃねぇの?しかも手まで繋いでるし」
思っていたことをそのまま美沙に尋ねた。
「・・・・・・いるよ。でも、大丈夫。准と一緒にいても問題ないから」
美沙は、俺の顔を見ずに、静かに答えた。
好きな男がいることもショックだったが、俺と一緒にいたところを見られても問題がないという言い方にショックを受けた。
俺じゃ、彼氏に見えないから、勘違いもされないってか?
聞いて後悔とはこのことで、余計にモヤモヤした気分になってしまった。
しかし、美沙の「准、行くで~」という優しい声は、俺の気持ちをリセットしてくれた。

