「せっかく、恋人を演じてるんやから・・・」
「えっ?」
もしかして・・・?
「こうやって繋ごう」
そう笑顔で言うと、俺の指間に自分の指を絡ませて来た。
うわっ・・・恋人繋ぎ?
「あ、あぁ」
動揺してるのがばれないようにしたかったが、どうしても吃ってしまった。
なんでこいつは、平気な顔してこんなことができるんや?
馴れてるのか?
えっ?まじですか?
ふと浮かんだ、存在するかもわからない元カレに一瞬にしてへこんでしまった。
今は彼氏とかほんまにいてないんか?
彼氏はいなくても好きな男とか。
そんな男がいたら、俺と居るところ・・・しかも手を繋いでるところなんて見られたら、嫌なんじゃないんか?
頭の中では、見えない美沙の彼氏との修羅場が始まっていた。

