「こうやってさ、二人で出掛けるのって久しぶりやんね?」


電車に揺られながら、流れる景色を見つめる美沙の表情が、嬉しそうなことに安心した。


よかった・・・つまらなさそうにしてなくて。


「そうやな、小学生の時に、俺のばあちゃんの家に行った時以来?」


「そうかも!あの時さ、准が道に迷って大変やったよね〜」


うわっ、嫌なこと思い出しやがって。


「・・・」


「准が泣き出すから大変やったんやからね!」


そう話す美沙の顔はなぜか優しく微笑んでいた。


また、何か言われるんやと思った・・・。


「ごめんよ」


「ほんま、世話のかかる子なんやから」


呆れながらも発する言葉と表情は、俺の心を刺激するのに十分だった。


そんな顔、他の男にもしてるんかな・・・。


美沙が他の男といることを想像するだけで腹が立っていて、自分の想いの強さを実感してしまう。