相変わらず、綾香ちゃんからの誘いには応え、遊んでいる。

そして今日は、この前、告白されてから初めて会うことになっている。



返事せなあかんよな・・・。


とりあえず、先に断ったら気まずいから、帰りにしよう。


今日は、買い物に付き合わされた。


「どっちがいい?」


綾香ちゃんが持っているのは、ピンクと白のスカート。


「ピンクかな?」


「やっぱり?准くん、綾香の好きな色知ってくれてるんやぁ」


俺と会う時はピンクばっかり来てるから嫌でもわかるし・・・。


綾香ちゃんはピンクやけど、美沙は白のかな・・・ってなんで美沙やねん!


「ねぇ、准くんどうしたの?」


「いや、別に」


突然、頭に浮かんだ女王様に動揺してしまった。


一通り、ショッピングが終わり、いつものように駅で別れるつもりだったが、俺は最後に大きな仕事をしなくてはいけなかった。


「綾香ちゃん、この前の返事なんやけど・・・」


言いにくかったが、話を切り出した。


「付き合ってくれるん?」


目の前の綾香ちゃんは、期待しているのか笑みを零している。


いや、付き合って当然よねぐらいの目力で見つめてきた。


そんな彼女の表情を見ないようにして、さらに口を開いた。


「いや・・・綾香ちゃんとは付き合えない」


「なんで・・・?」


うわっ・・・泣き出したし・・・どうしよう・・・どうしよう・・・。




「なんでって・・・」


「綾香はこんなに准くんのことが好きやのに・・・」


そう言うと、綾香ちゃんは俺の胸に飛び込んで来た。


えっ??


「准くん・・・」


涙目で・・・名前を呼ばれたら・・・。


俺は、綾香ちゃんの背中に腕を伸ばして抱きしめようとしていた。


しかし、一瞬見た目の前にいた人物を見て、手が止まってしまった。



「美沙・・・」


抱き着いてきてる綾香ちゃんなんて気にせずに、美沙の名前を呟いていた。


泣いてる・・・。

あの美沙が泣いてる?


頭の中は完全にスローモーションになっていて、動こうにも手足を動かすことができなかった。