俺、宮元准(ミヤモト ジュン)は毎日のように幼なじみの秋月美沙(アキヅキ ミサ)にいじめられていた。



美沙は、美人で、背が高く、めちゃくちゃ男女共に人気がある。



でも彼女の本性は誰も知らない。




いや俺と彼女の家族と俺の家族だけが知っている。



簡単に言えば、『外面がいい』。


そんな辛い辛い女王様と奴隷のような関係も、俺が中学受験をしたお陰で解消された。


電車通学の俺と徒歩10分で通学出来る美沙とは、隣に住んでるにも関わらず、3年間1度も会うことはなかった。


家に帰ると俺の母親が美沙の話をすることもあった。


『美沙ちゃん、ますますかわいくなってるんやで』

『髪を伸ばしてるみたい』
とか。


かわいいのは昔からだから、認めるけど、あのショートカットしか見たことのない美沙が髪を伸ばした姿が想像できなかった。


男でもできたんかな?

それなら少しは女らしくなってるんじゃないかと期待してしまった自分が嫌になった。


何考えてるんやろう。あんな女なんか2度と会いたくないし。