「准、休みの日はずっとそんな格好してんの?」


持ってきたオレンジ色のチェック柄のエプロンをつけながら、嫌そうな顔をして俺に聞いてきた。


「へっ?」


俺は、自分の姿を確認した。


うわぁ最悪・・・ださすぎる。


「俺・・・着替えてくるわ」


俺は、トボトボと階段を上がり、部屋で着替えて、リビングに戻った。


キッチンからは、トントントンとリズム良く包丁で何かを切っている音がしている。


料理できるんやぁ・・・。


そーっとキッチンを覗くとと、手際良く料理をしている美沙の後ろ姿が見えた。


髪の毛は、アップにしてあり、色白のうなじがあらわになっている。


白のTシャツからは細い腕が見えていた。


それより下は、テーブルなどが邪魔で見えなかった。


そういえば今日は、スカートじゃなかったなぁ・・・。



俺は、何を考えてるんや・・・?



ソファに座り直し、テレビを見た。


たまに、美沙の方を見ると、嬉しそうに料理をする姿が見えて、つい見とれてしまった。


俺の視線に気付いたのか、美沙が顔を上げ、

「何、ジロジロ見てんのよ!」

と、きれいな顔からは想像できない口調で言い放った。


あーやっぱり、美沙は美沙や!


そして俺は、再び集中できないテレビを眺めていた。


うわぁ、いい匂い。


カレーのスパイシーな香りが空腹の准を刺激してくる。


「准、ぼーっとしてないで、お皿とか用意してよ!」


「はぁ〜い」・・・女王様。


皿とかどこにあるんや?


自慢じゃないが、母さんの手伝いなんか一度もしたことがない俺が皿のありかがわかるはずもなく。


「准、あんたお皿がどこにあるかもわからんの!?」


「はい。わかりません」


「もう。しかたないんやから!」


文句を言いながらも食器棚から皿とかスプーンを出す。


なんで、お前が皿のありかを知ってるんや?


ここは俺ん家やんな?


念のため、周りを見渡し自分の家か確認した。


「あんた、何、自分の家か確認してんのよ!」


ゲッ、ばれてた・・・?


「ち、ちがうわ!」


「私ね、中学の時ね、よく准のお母さんに料理を教えてもらいに来てたんよ。

うちのお母さんより、准のお母さんの方が料理上手やからね」


「へ〜そうなんや」


美沙の話に納得するばかりだった。