『准へ


今日は、お隣さんとバスツアーに行ってくるから、昼食は美沙ちゃんに作ってもらってね。

夕方には帰ります。

母より』



朝起きて、1階に降りたら置き手紙が残されていた。


全く聞いていなかった俺は、唖然とし、立ち尽くしていた。


なんで、美沙に昼飯を作ってもらわなあかんねん。


俺は、冷蔵庫を開け、食べれそうな物を探した。


「何にもないし・・・」


料理のできない俺は、調理をしないでも食べることのできる物を探したが、残念ながらなかった。


それならコンビニ弁当でもいいやん。


そう思っていたら、玄関のチャイムが鳴った。


あぁ、誰やねん。なんかの勧誘か?


俺は寝癖のついた髪とだらしないパジャマ姿で玄関のドアを開けた。


「ゲッ、美沙」


「人の顔見て『ゲッ』はないやろ?ってか、いつまで寝てんの?もうお昼前やで!」


俺は、相当間抜けな顔をしていたのだろう。


美沙は、俺の顔を見て、クスッと笑い、「お邪魔します」と言って靴を脱ぎ出した。


「ち、ちょっと・・・」


「何?私、准のお昼ご飯作りに来たんよ!なんか文句ある?」


「いえ、ありません」


どんどん近づいてくる綺麗な顔に圧倒されて何も言い返すことができなかった。

遠慮もなく家の中に入っていく美沙は、キッチンへ行き、冷蔵庫を覗いてる。


「何にもないやろ?」


「そんなことないよ。准、カレーでいい?」


「うん」


振り返った美沙の顔があまりにもかわいくて、『お前、料理できるの?』という嫌味も言うことができなかった。