「ただいま」


肩を落として家に帰って来た、俺の姿にみんなが驚き、声を掛けることすらためらっているようだった。


「あれ?准、美沙ちゃんは?」


ようやく母さんが声を掛けたが振り返りもせずに、低く小さな声で呟いた。


「彼氏が来たから帰って来た」


「彼氏?!」


声を揃えて驚く4人に顔色も変えずに、声を出した。


「あぁ、ちょっと前から付き合ってるんやって」


「ほんまなん?」


母さんは、疑いの眼差しを送りながら、聞いた。


「・・・あぁ」


影を背負っているような俺に、誰も声を掛けることができなかった。


「准・・・大丈夫?」


声をかけるも、俺はその言葉を受け止めることなく、通り過ぎた。


「あぁ。俺、部屋に行くから・・・」


力無い声で呟くと、2階へと向かった。


自分の部屋に入ると窓を開けて、自分の部屋の窓からこちらを見ている美沙に声を掛けた。


もちろん、満面の笑みで。