「えっとね・・・准に久しぶりに会った少し前に、うちのお母さんと会ったでしょ?」
天井に向けていた視線を隣に座る俺に移し、首を傾げながら聞く美沙の表情があまりにもかわいくて、動揺してしまっていた。
「あぁ、そう言えば・・・」
曖昧な返事をする俺から目を逸らして、美沙は話を続けた。
「その日以来、お母さんが准の話ばっかりするから、
おかしいと思ってたんよ・・・
准の家で買ってきたワンピースに着替えろだの、
文化祭に准を呼んだら?とか、
バスツアーに行くから准の食事を作れだの言われて・・・確信したの」
俺も同じことを言われたけど、気付かんかったし。
「・・・・・・」
「准と私をくっつけようとしてるんやってわかったの」
マジですか?
「・・・・・・」
「それで、私はわざとその罠にはまってあげたというわけ」
「・・・・・・・」
驚き過ぎて言葉が出る状態ではなかった。
「そしたら、おもしろいくらいに准がひっかかるというか、いいリアクションしてくれて、面白かったよ」
「・・・うわ、最悪やし」
罠ってことは・・・あれも?
「・・・じゃあ、クリスマスの日にアキラと一緒にいたのも罠?」
真っ先に頭の中に浮かんだアキラの顔に苦笑いをしながら、美沙に聞いた。
「あれは、偶然。共通の友達がフルートをしてて、コンサートの前の練習を見せてもらって、私はいいって言ったんやけど、どうしても送ってくれるって言われたから・・・・・・」
少し気まずそうに言う美沙の表情が、アキラに対してではなく、自分に向けられていることがわかっただけで満足だった。
「そっかぁ・・・でもあいつ、美沙のこと好きなんじゃ・・・」
あの俺を威嚇するような目は、絶対にそうや・・・・・・。
「次の日、告白されたけど、断ったよ」
「・・・・・・」
あっさりと言う美沙に言葉もなかった。

