「准・・・」
静かに呼ばれた自分の名前に、今まで感じたことのない喜びが包み込んでくれた。
「美沙・・・」
めっちゃいい雰囲気じゃない?
突然訪れた甘い雰囲気にどっぷり浸っている俺に対して、美沙が言った言葉に唖然としてしまった。
「・・・やっと罠にかかってくれた」
少し安心したような表情と口調で出てきた言葉に俺は、開いた口が塞がらないくらい驚いていた。
「えっ?罠?」
「そう、私がかけてた罠」
驚く表情の俺に対して、美沙は少し笑みを零して、意地悪な表情をしていた。
「・・・・・・」
ど、どういうこと?
意味がわからんし・・・。
「おいしそうなマドレーヌやなぁ。食べていい?」
話を逸らそうとする美沙に注意するように声を出した。
「美沙!ごまかさない!」
「はぁい」
真剣な言葉に美沙は肩をすくめて、ソファに深く座った。
「どういうことか教えて」
事情聴取するように美沙を問いただした。
「あのね・・・准が私のことを気になるようにする罠」
はぁ?
罠?
「何それ?俺、美沙に罠をかけられてたん?」
「やっぱり気付かなかったんやね」
少し笑みを零しながら言う美沙の表情に腹が立つはずなのに、全くそんな気にはならず、自分が恋に溺れていることを自覚させられてしまう。
やっぱりって、悪かったな。
どうせ俺は鈍感ですよ!
拗ねながらも美沙に詳しく話を聞こうとしていた。
「いつから?」
俺の質問に美沙は思い出すように、天井を見ながら話し始めた。

