「開けていい?」
「どうぞ」
美沙の声を後頭部で受けながら、できるだけ平静を装って声を出した。
バサバサと紙の音がしなくなり、ゆっくりと箱を開ける音がしたかと思ったら、何も言わない美沙に俺はゆっくりと視線を戻した。
これじゃなかった?
もしかして、持ってる?
そんな不安を抱きながら美沙の顔を覗き込んだ瞬間、不安はどこかに消えてしまった。
「うわぁ・・・これ・・・」
目の前のネックレスを見つめる美沙の横顔はこれ以上ないくらいの笑顔で、心は温かくなった。
「欲しかったんやろ?」
「覚えててくれたん?」
俺の言葉に美沙は、俺の顔をじっと見つめて聞いた。
その表情がかわいくて、思わず顔を背けてしまった自分が情けなかった。
「・・・美沙の言うことは一字一句のがさへんよ」
そんなキザな台詞も出てくる位、俺らの間には甘い雰囲気が漂っていた。
うわぁ、俺何を言ってるんやろう。はずかしいし。
笑い飛ばしてくれ・・・頼む!
「・・・嬉しい。准、これって・・・ピンクって、本店にしかないんじゃ?」
俺の思いもむなしく、美沙の指摘に顔は真っ赤になっていくのがわかった。
「知ってた?・・・美沙にはピンクが似合うと思って、行ってきた」
うわぁ、恥ずかしいし、でも本当のことやからな。
「めっちゃ時間かかったんじゃない?」
「往復6時間」
首を傾げながら覗き込む美沙に、ぶっきらぼうに答えた。
「ふふふ、アホなんやから・・・」
美沙の笑い声といつもの呆れた口調で『アホなんやから』と言われたことで、どこか安心している自分がいた。
「アホはないやろ?」
すねた振りをしながら言った。
冗談になってくれた・・・。
笑い飛ばしてくれたことで、自分の重過ぎる感情を少し軽くして受け取ってくれているようで安心した。

