「いらっしゃいませ」


緊張しながらも店内に足を踏み入れるとすぐに、雑誌を取り出してた。


「すみません、これありますか?」


「はい。こちらに」


店員に連れられて来た目の前には、雑誌と同じデザインのネックレスが並んでいた。


「こちら、人気なんですよ。プレゼントですか?」


「あぁ、はい・・・」


返事もそこそこに、ネックレスを見つめる。

デザインが同じだが、何個かついている石の部分だけが色が異なる。


水色、ホワイト、ブラック、イエローなどが並んでいた。


あれ?ピンクは?


「すみません。ピンクは?」


「申し訳ございません。ピンクは本店のみのお取り扱いとなっています」


「そ、そうなんですか・・・」


美沙にはピンクが似合うと思ったのにな・・・。


「直接、お取り寄せいたしましょうか?」


「できるんですか?ぜひお願いします!」


「はい、日数をいただくことになりますが・・・」


申し訳なさそうに言う店員に目をやり、続けて聞いた。


「何日くらいですか?」


「1週間ですね」


誕生日に間に合わへんし。


「そうですか・・・。じゃあ、直接行くしかないですよね?」


「・・・申し訳ありません」


頭を下げる店員に何も言うことができなかった。


「・・・・・・」


本店かぁ・・・ここからでも2時間くらいかかるんじゃないか?


家からだと3時間。往復6時間。


「あっ、本店に在庫があるか確認しておきましょうか?せっかく行って、なかったらいけないので・・・」


「お願いします」


その言葉に、店員は小走りで、奥へと向かった。


しばらくすると、店員が笑顔で戻って来た。


「在庫あるそうです!数が少ないみたいなので、取っておいてもらいました」


「すみません」


俺は、店員さんに深く頭を下げた。


「向こうで私の名前を言っていただいたら結構です。私、店長の岬です」


「岬さん・・・。ありがとうございました」


ミサキさんか・・・。


『ミサ』って入ってるし・・・。


少し笑顔を零しながら、店を出た。


外に出ると、少し暗くなっていて、計画もなく出て来たのを実感させられた。


今日は、さすがに行けないから、明日行こう。


帰りの電車の中で、美沙の喜ぶ顔を思い浮かべ、にやける顔を抑えるのに必死だった。


これを美沙に渡して告白する。あいつに好きな男がいても関係ない。


今はダメでも、俺の方を向いてくれるまで頑張る。絶対に諦めない。