「はぁ・・・」


ベッドに寝転がると、天井に向かってため息をはいた。


「あー落ち着かん・・・」


ベッドから下りると、机の上においてある消臭スプレーを手に取り、噴射させた。


この数ヶ月で、このレモンの香りはこの部屋の香りになっていた。


そして、この爽やかな香りを嗅ぐと、どうしても美沙を思い出してしまう。



トントントン


「准入るよ」


美沙?


なんで来るねん。



「何?」


寝転がりながら、不機嫌そうに美沙に聞くと、ゆっくりとベッドに近づき、覗き込んできた。


なんて顔してるねん。


覗き込む顔は、少し悲しそうで、泣き出しそうだった。


「准、お昼ご飯は?食べる?しんどいの?」


何も言わない俺に、美沙は心配そうに問い掛けてくれた。


なんでお前はそうやって、俺を惑わすねん。


気がないんやったら、そんな表情するなよ!


「美沙・・・お前な・・・のこのこ男の部屋に入って来るなって言ったよな?」


「えっ・・・」



美沙が驚いた顔をした瞬間、俺は体を起こし、美沙を抱きかかえ仰向けに寝ている自分の上に乗せた。


「ちょっと・・・何するん・・・」


俺に覆いかぶさる形になっている美沙は、慌てて下りようとするが、俺の力によって、抱きすくめられた。