「准!なにをボーッとしてんの?」
「いや、なんでもないよ。美沙、勉強してたんやろ?俺、邪魔やんな?帰るわ」
一瞬、美沙の顔が驚いてるように見えたが、頬を膨らませて口を開く仕草にドキドキさせられた。
「邪魔なんかじゃないし」
少しだけ不機嫌そうな表情とは裏腹に、出て来た言葉は俺を刺激するには十分だった。
「えっ・・・?」
「教えて欲しいところあったし。准、数学得意やろ?」
「まぁ・・・」
昔から美沙の方が成績いいやんか。
美沙が中学受験しなかったのも不思議なくらいなんやから。
「あかん?」
うわぁ・・・そんな表情で言わないでくれよ!!
上目遣いで首を傾げながら聞いてくる美沙の表情に俺は、急激に胸が高鳴るのがわかった。
「べ、別にいいよ」
美沙から真っ赤になった顔を逸らし教科書広げている前に座った。
「ありがとう」
ニッコリ笑う美沙に見つめられて動揺を隠しきれなかった。
「こうやって解くんやぁ・・・」
感心したような言い方だったが、美沙がこの問題が解けないとは思えなかった。
「美沙・・お前、この問題解けたんやろ?」
「ばれた?」
舌を少し出して、おどけた表情の美沙を見つめながら、なぜそんなことをしたのかを疑問に感じていた。
その俺の表情がよほどおかしかったのか、美沙が吹き出した。
「ふふふ・・・准ってさ、ほんまに勉強のことになると鋭いよね。あとは鈍感やのに」
席を離れ、キッチンに向かいながら美沙は言った。

