「お〜い、准!」
「あっ!」
呼び掛けられた健吾の声に思わず声を上げてしまった。
「またお前、違う世界へ行ってたぞ?」
「あ、ごめん」
「いいこともあったみたいやけど、何かあったんやろ?」
「よくわかるな」
「お前の表情を見てたら、何があったか手に取るようにわかるよ」
「・・・・・・」
一体、俺はどんな顔をしてたんやろう・・・。
「それで、何かあった?」
何も答えない俺に健吾は、再び答えを催促した。
「好きな奴がいるんやってさ」
俯きながら答えた。
「ふぅん。まぁ、好きな奴がいてもおかしくないよな?」
「それでも、実際聞くとなぁ・・・やっぱりショックや・・・」
そう言うと、俺は机に突っ伏した。
そう・・・実際、本人の口から聞くとさ・・・
昨日はそれ以上に一緒にいれたことが嬉しかったから、そんなこと忘れてたけど、冷静に考えたら、俺なんて勝ち目ないやん。
「じゃあ、諦めるんか?」
健吾の言葉は、突き刺さった。
「・・・できへんし」
ゆっくり顔を上げると、目の前の健吾は笑みを浮かべていた。
「どうするんや?」
どうするって・・・。
「・・・健吾!教えてくれ!」
藁をも掴む思いで、健吾に縋り付いた。
「一ついいこと教えてやる」
得意げな顔をしている健吾から、あることを教えてもらった。
「サンキュー!」
俺は一気に元気を取り戻した。