「はい」
買ってきたソフトクリームを美沙に渡すと、美沙は少し遠慮がちに受け取った。
「ありがとう」
「ご機嫌は直りましたか?お嬢様」
「准のアホ」
美沙の顔を覗き込んで聞くと、美沙は俯いて恥ずかしそうにしてるのを見て、俺も伝染してしまい胸がうるさく鼓動してるのがわかった。
「美沙、とりあえず、歩く?」
「そうやね」
そう、この状況を打破するためには歩こう!
「じゃあ、はい」
俺が左手を差し出すと、美沙は再び指を絡めてきたことに、飛び上がるくらい嬉しかった。
なんか、手を繋いで歩くだけでもいいな。
「准は食べないん?」
「あぁ」
これは、美沙の機嫌を直してもらうためのものやから、ほんまは、俺も食べたかったけどやめたんや・・・。
「一口食べる?」
えっ?
一口食べる?
美沙が食べてるのを食べる?
そんなことを考えるだけで、おさまりかけた心臓が高鳴るなんて、美沙に溺れ過ぎだ。
「ありがとう」
「じゃあ、アーン」
マジですか?
『アーン』って、かなり恥ずかしいって!
徐々に近づくクリームの山に、遠慮がちにかぶりついた。
うわっ、恥ずかしいけど、なんかラブラブって感じじゃねぇ?
口の中のクリームは、あっという間に溶けてしまい、照れ臭さだけが残ってしまった。
しかし、そんな甘い時間は長くは続かなかった。

