五つの顔を持つ私




「…ただいま帰りました、麗子様」

「あら美麗、遅かったわね」

「…連絡が急だったもので…」

「あ、そう」

この人は何故今になって帰ってきたのか。

「そうそう、みなさんにお土産があるんだった」

ガサゴソとキャリーバックを漁り次々と物を出していく。

「はい、これは麗の、これは美麗に」

その場にいるすべての人達に配り終え、

「あら?麗美はどうしたの?」

ニッコリ笑顔で問い詰めてきた。

「麗美姐様はただいま仕事中でございます」

「仕事ねぇ」

「…はい」

「お母様とお父様はお元気?」

「海外にいるので…なんとも」

手紙ではとてもお元気ですけど…と、続けた。

この方が帰ってきたのはハプニングといっていいだろう。

…聞いてないわよ、私…。