五つの顔を持つ私




「美麗、ちょっと…」

こしょこしょこしょこしょ

「…幹部になる」

よし。

いきなり考えを変えたからみんなポカンとしてる。

「…なに企んでる?」

「別になにも?」

「フッ、まぁいい。黒木美麗は今日から龍神の幹部で黒木麗も姫だ」

うんうん…え?

い、今総長が宣言した言葉の中に聞き捨てならない台詞を聞いた気がするけど…?

「ひ、姫…?」

きっとなにかの間違いよ。うん、そうに決まってる。

「あら、麗は最初から姫でしょ」

「…はぁぁ!?聞いてないんですけど!?」

だって私、族の総長だよ!?姫なんてなれるわけないじゃん!

姫っていう柄でもないし。

「もう決定事項よ。後からあーだこーだ言わないの」

「そんな…」

理不尽だ…。

「諦めろ」

「美麗まで…」

美麗は満足顔。

「…お前がいたら、もっと面白くなる」

…なるほど。

耳元で言われた言葉に納得。

「なにこそこそ話してんだ?」

「家庭内じじょー」

あながち間違ってないわね。

さっき私があんなこと言ったから美麗ってば張り切っちゃったのかしら。

『あなたが幹部になれば、もっと素晴らしい光景が観れるわよ』

意味:あなたが幹部になれば、龍神が崩壊する様を間近で観れるわよ。その光景はさぞかし素晴らしいんでしょうね。

その言葉を理解した美麗は即決で幹部になることを決めたってわけ。

美麗、崩壊とか争いとか間近で観戦するの好きだから。

私もだけど。