麗side
「伊織!?」
次の日、学校に行ってみると佐藤伊織が登校していた。
「ちょっと、伊織!?大丈夫なの!?」
ボーとしていてなにも聞こえてない様子。
「どこ行ってたの!?」
「みんな心配してたんだよ~」
「無事で本っ当に良かった」
…ふっ、どの口が。
行方不明になったと知ったとたんに悪口大会繰り広げてたクセに。
心配?バッカじゃないの?
好奇心からどこにいるか予想して遊んでたじゃないの。
くっだらない。
所詮その程度の友情だったってことでしょ。
それにあの女は本物の佐藤伊織じゃない。
クローンよ。
それにも気付かないなんて。
ま、仕方ないか、美麗が造ったクローンなんだから見破れなくたって当たり前よ。
それにしても…、すごい完成度ね。
さすがは美麗。
クオリティが高い。
私でさえ、知ってなかったら気付かないわよ。
「…大丈夫だよ~」
今まで黙って俯いていた佐藤伊織が顔をゆっくり上ゲ、へらっと笑った。
「…心配かけてごめんね~」
…しゃべり方でさえそっくり。
「…美麗」
「オリジナルの性格や思考回路を完璧にインプットした。ただし俺や麗の言うことは必ず聞くようにできてる」
「…これを2・3日で…?」
「ああ」
「あなた、クローン造るの初めてじゃなかった?」
「…日本に来てからは初めてだな」
…それでこれ…?
「…上出来じゃない」
それしか言えない。
私達の間では当たり前だった。
どんなにすごくてもどんなに頑張っても誉められることはなかった。
使えない人材は必要ないから。
だからそのせいもあってか、誉め言葉を軽々しく言ってはいけなかった。
美麗もそのことは痛い程わかってるからなにも言えない。
…気まずい空気が辺りに立ち込めた。


