「……で、順調?」
相変わらず麗子様は主語がない。
私達にはそれで通じるからいいんだけど。
「ええ、」
なにしに帰ってきたんだろう。
麗子様は用事がないのに帰って来る人じゃなかったはずだけど。
誰よりもこの家を嫌ってた人だから。
それは私達もなんだけど。
「……そうだ、言い忘れてたけど、一週間後○●ホテルでパーティーがあるから麗と美麗、出席なさい」
「…かしこまりました」
○●ホテルっていったら超超高級ホテルじゃん。
本当にセレブの中のセレブしか入ることが許されないっていう。
入るときにブラックカードを提示しないと入れないって噂の。
……と他人事だけど、実は黒木財閥が経営してるんだよね…。
「私も一応参加するけど契約先の社長や著名人なんかが数多く出席なさるからくれぐれも失礼のないよう」
「…承知しております」
「では、行きなさい」
「失礼しました」
ガチャン
「……ふぅ」
ため息を吐く美麗を横目で見る。
そういえば美麗はパーティーなどの公共行事や人がたくさん集まる所苦手だったわね。
私もだけど。
「……それにしても皮肉よね。誰よりもこの家を嫌ってる人が誰よりもこの家に縛られているのだから」
「それはお前もだろ」
「…まぁ、確かに」
「お前が一番嫌って、一番縛られてる」
「…………」
「この家に産まれたのが運の尽き」
「…………」
「誰もこのしがらみから逃れることはできない」
「………そうね」
「なんて残酷な所だろうな、この家は」
「激しく同意」
「「自由なんて……、産まれた瞬間からないのよ(ないんだよ)」」
「……フフッ、じゃあ、ね」
私達はそれぞれの部屋に入るため別れた。


