私は続ける。
「そして、私が連れてこられた本当の理由は、鬼と夫婦になって子孫を残し、鬼の命を絶やさないことだそうです。」
すると、山南さんが神妙な顔つきになって
「聞いたことがある。
木花開耶姫の生まれ変わりは鬼と夫婦になり、子孫を残すことが使命であると…。
そして、強い子孫を残して、血が薄れてきたら、また次の生まれ変わりとその子孫が夫婦になって同じことを繰り返すと。」
「そうらしいですね。」
「でもよぉ、美奈。それとお前に何の関係があるんだ?
未来から来たお前に。」
と原田。
「私は、私の前世である美桜にこの時代に連れてこられました。
美桜も、木花開耶姫の生まれ変わりです。
美桜はここの時代の人間。
そして、使命を果たす前に浪士に切られて亡くなった。
だから、鬼の血が途切れることがないように、私をこの時代に連れてきたらしいです。」
「で、お前はどうするんだ。」
と土方。
私は決意した。
私は言わなくちゃいけない。
どんなに皆が。平助君が優しいからって頼って迷惑はかけちゃいけない。
それに、今は七月だ。
文久三年の八月には八月十八日の政変が起こる。
皆はそろそろ忙しくなってくるだろう。
「私は…
鬼と夫婦になります。」
「…うそ、だろ?」
「平助君、嘘じゃない。
私は皆に迷惑はかけたくない。
…だから、ごめんなさい。
前の話はなかったことにして?」
私は平助君に言う。
すると、平助君は私の顔も見ずに部屋を出て行ってしまった。

