「わわ、藤堂さん!?」
私がびっくりしていると、藤堂さんは私の首筋に顔をうめ、さっきよりもきつく抱きついてきた。
「…もうちょいこのままでいさせて。」
と藤堂さん。私はその言葉に頷いた。
そして、しばらくたったとき
「これは独り言として聞いてほしい。」
と藤堂さんは私の首筋に顔をうめたまま話し始めた。
「あのな、俺、美奈が大坂に言ってから気が付いたんだ。
俺、美奈が好きだ。
美奈の笑顔を俺は守ってやりたい、そう、いつのまにか思っていたんだ。」
私は、質問する。
「藤堂さん、私、ここに来てからいつのまにか、藤堂さんのこと目で追ってました。
いつも考えること、いえ、ふとした時に頭に浮かぶのはいつも藤堂さんでした。
そして、藤堂さんのことを考えるといつも胸が苦しくなります。
藤堂さんといると、いつも胸が異常に高鳴ります。
…ほかの人とはちょっと違うような感じなんです。」
藤堂さんは私の首筋から顔を離して、私の顔を見る。
とっても驚いたような顔。
それを見て、
「私は恋なんて一度もしたことがないので、その気持ちが“好き”なのかはさだかではないですけどね。」
と、私はニコッと笑ってつけくわえた。
すると、藤堂さんがまた抱きついてきた。
さっきよりも、ずっとずっと強く。
「美奈、お前が俺のことを好きかはわからない。
だけど、俺も美奈のことずっと目で追ってた。
考えることはいつも美奈だった。
そして、胸が苦しくなった気がした。
たぶん、それは俺と一緒の気持ちだ。
ありがとう。ほんとにありがとう。」
「そうなんですか。
良かった。私、病気にでもなっちゃったのかと思って焦ってたんです。
本当に良かった。
藤堂さんのこと、好きになれて嬉しい…。」
気づくと私は涙を流していた。