いつも通り、夕餉の支度はしなくてはいけなかったので、私は沖田さんとは業務事以外は何も話さなかった。
そんな日がしばらく続いて、今は五月下旬。
私は、近藤さんの部屋に呼び出された。
そこには、幹部たちが勢揃い。
部屋に入ると、私はここに来たとき同様、部屋の中央に皆に囲まれるようにして座らされた。
どうしよう、私何かしちゃったのかな…。
そんな不安がよぎる中、近藤さんの口から伝えられたものは、大坂にて我々の名を名乗って横領を働いている奴等がいる。
その取り締まりをしに大坂に芹沢一派と共に行く。
というものだった。
私には関係ない話だと思って聞いていると、近藤さんに名前を呼ばれる。
「そこで美奈君、芹沢さんから直々に申し出があってね。大坂に行っている間、身の回りの世話を頼みたいとのことだ。
我々としては隊務の一貫。
いくら隊士だからと言って、大坂では切り合いにもなる可能性だって十分に有り得るし、何があるかわからない。
どうする、行くかい?」
周りは、それを聞いてびっくりしている。
私は迷った。でも、よくよく考えてみると、私はここに来てから皆の役に立ったことがない。
…だから、もし、私を必要としてくれている人がいるならば、私は行きたいと思った。
私は力強く頷く。
それを見て、近藤さんは、そのかわり無茶をするんじゃないよと心配してくれた。