ドンッ
私は階段に差し掛かった時に誰かに背中を押された。
誰かって言っても一人しかいない。
だって、ここは校舎北棟。事務室や校長室、職員室をはじめ、特別教室しかない棟だ。
当然、人気はなく私と柚希だけ。
「柚希…なん、で…。」
「…え?なんでってあなたが目障りだから。
だって、あなたは何もかもを持っている。だから、あなたを利用しようとしたんだけど、それも上手くいかなかった。だから、お遊びはこれでお終い。
それに私、この学校に入った時からあなたのことが気にくわなかったのよねぇ…。」
「そん、な…。
嘘だよ…柚希は、そん、なことっ、するわけない…。」
「ふふっ あはははははっ」
柚希が笑う。私を見下して。
そして私に冷たく言い放つ。
「嘘じゃないよ…?」
そこで私は意識を手放した。
まるで、この現実から目を背けるように…。