私たちは屯所へ帰る道中、待ちの人からの視線を浴びた。




「出たで。壬生狼や、壬生狼。

あいつら、街の警護やなんやゆうて金をまきあげたりしてるらしいで。」

「なんや、そこらの浪士と変わらんがな。」

「おぉ、怖い怖い。」






私は藤堂さんの顔を見る。




「藤堂さん、いいんですか?
言わせておいて…。」




「美奈、気にするな。勝手に言わせておけばいい。」








私たちはそのままその場を後にした。






私はちらっと横の藤堂さんを見た。

その時の藤堂さんの顔は、今でも忘れられない。