「…誰だ。」
そう低い声で言った彼の言葉には憎しみの意が込められていた。
彼の姿を見る。
服はぼろぼろで、体中に痣ができていた。
酷いところは肉が抉れているところもある。
見るに堪えない姿に、心を痛める。
「早く、自白したらどうですか…。」
「何を言えと言うのだ。
俺は何も知らない。」
「古高さん、あなた、あんなにつらい思いをしたのにまだ口を割らないつもりですか。
さすがにここまで来たら馬鹿、ですよ…?」
「ふんっ。
勝手に言っておれ。」
「ねぇ古高さん、武士の誇りも大切です。
でも、誇りとかの前に自分の体の心配をしたほうがいいですよ?」
「…。」
「だんまりを決め込むつもりですか。」
「…。」
「はぁ…。仕方ない。
あなたたちは祇園祭のの前の風の強い日を狙って御所に火を放ち、その混乱に乗じて中川宮朝彦親王を幽閉し、一橋慶喜・松平容保らを暗殺し、孝明天皇を長州へ動座させる…。
これが目的ですよね…?」
古高の肩が僅かに揺れる。
「そうですか…。
やっぱり、本当だったのですね…。
悪いようにはしません。
女の私に計画を話され、牢へ入れられるよりご自分で話したほうがいいんじゃないですか?
明日にでも話しなさい。
大方、明日にでも会合が開かれるのでしょう?
その場所も伝えなさい。
いいですか?
明日の早朝、必ず…。
あなた方がどう足掻こうと、私には到底及ばない。
私が生きているかぎり、ね…。」
そう言い、古高を一瞥した美奈は蔵を後にしようとする美奈を古高は呼び止める。
「お前、名は?
一体、何者だ?」
「玖龍、美奈。
…未来から来た者だ。」
彼はその言葉に目を丸くしたが、すぐに微笑み「そうか。」とだけ言った。
彼の言葉を聞いた美奈は今度こそ蔵を後にして、着替えを持って風呂場へ向かった。
私は風呂から上がった後、自室へ向かった。
そして床に就く。
明日、彼が自白してくれるように願いながら…。

