八百屋に魚屋。
夕餉に食べる食材を買って帰ろうとしたその時だった。
前方から歩いてくる浅葱色の羽織を身に纏った人たち。
町人が恐れをなして道の端に寄る。
あの人たちとは目と鼻の先。
私が呆然と立ち尽くしているその時、あの人と目が合う。
愛しいあの人と。
彼は驚いている。
はやく、はやく逃げなきゃ…。
そう思い、踵を返して私は走り出した。
「待って!!美奈!!」
後ろからそんな声が聞こえるけれど、私は必死に下鴨神社まで走った。
途中、手首を掴まれる。
驚いて後ろを振り返ると、
「ねぇ、美奈なんでしょ?」
そう平助君に問いかけられた。
「いや、やめてっ!!」
私はそう言って彼の手を振り払った。
そして、再び走り出す。
下鴨神社に神社に着き、部屋に入る。
私はその場にへなへなと座り込んだ。
これじゃあ、居場所、知られちゃったかもな…。
そう思い、ハハッと乾いた声を漏らした。

