下鴨神社に来てから数週間が経った。
今は紅葉が見ごろな季節。
今では煉さんは、私からの願いで美奈と呼ぶようになった。
下鴨神社の宮司さんともそれなりに仲良くなり、神社の手伝いも少しだけするようになった。
煉さんはとても優しくて、私が過ごしやすいように色んなことをしてくれる。
それに後ろめたさを感じたりする時もあるけれど、「それでもいい。僕が好きでやっていることだから。」と言ってくれて、とてもうれしかった。
今は屯所にいたころと違って、女であることを隠さなくてもいいため、着物を着ている。
最初は着方がよくわからなくて、煉さんに直してもらったりもしていたけれど、数週間もたてば慣れるもので、今では一人で着れるようになった。
その後、風の噂で壬生浪士組が新選組と改名したと聞いた。
史実通り進んでいることに少なからず安心を覚えた。
「煉さん、煉さん。私、清水寺の紅葉を見てみたい!!」
そう煉さんに頼む。
「美奈は、清水寺の紅葉を見たことないのかい?」
「そうなの。
私ここの時代に来て、初めて秋を迎えるの。
未来でも清水寺は遠くて行けなかったから、みたいなぁって。」
「そっか。
それじゃあ今日、清水寺に行ってみるかい?」
「うん!!」
私たちは清水寺に向かった。
「美奈、寒いから羽織は忘れずにね?」
と言う煉さんはとても優しい。
清水寺に向かう道中、巡察をしている新選組に会った。
「煉さん、ちょっと…。」
と手をひき、見つかる前に狭い路地に入っていく。
人が多い今、見つかる可能性は少ないけれど、気づいたらこんな行動に出ていた。
新選組の人たちが目立つ浅葱色の羽織を着ていてよかった。
路地から新選組が行ったか顔を出す。
ちょうど通った新選組の皆。
着々と隊士を集めていて、数週間のうちに私が知らない人の顔もあったけれど、それが少し嬉しく感じた。
沖田さんと原田さん、永倉さん、私が大坂に行ったときに集まった人数名と新入隊士二人。それと…
平助君。
彼を見ると、涙が溢れてきた。
それを見て煉さんが黙って抱き寄せて背中をポンポンとしてくれる。
「いいよ、存分に泣いて。」
そう言ってくれたからなのか、溢れる涙は止まることを知らず、流れ続けた。
しばらくして、涙が引っ込む。
「煉さん、ありがとう。」
そう言って私は微笑む。
「どうする?
清水寺に行くかい?」
と聞いてくる煉さんに「行きます!!」と笑顔で答える。
そして路地裏を出て清水寺に向かった。

