その後、芹沢さんはお酒を飲み続け、角屋を後にした。
芹沢さんが角屋を去った後、雨が降る。
しばらく近藤一派と芹沢一派の野口さんは角屋に残った。
野口さんは芹沢一派の中でも近藤一派と特に仲が良く、芹沢が「お前はここに残れ。」と言ったことから、角屋に留まったのだ。
時が経つと、土方さんと山南さん、沖田さん、原田さんが散り散りに角屋を後にした。
私も気づかれないように、時間を空けて「厠に行く。」と一言言って、角屋を後にした。
刀を手に屯所に向かって走る。
雨の中、道がぬかるんでいるのか、躓き、何度も転ぶ。
それでも、一生懸命屯所へ走った。
頬に温かいものが伝う。
屯所の門を潜り抜けると血の匂いが立ち込める。
吐き気がするのを耐えながら、微かに聞こえる刀がぶつかり合う金属音がする方へ向かった。
「おい、美奈っ!!お前、なんでここにいる!?」
途中で、原田さんに呼びとめられるが、それを無視して歩みを進めた。
歩みを進めていくにつれて、金属音が大きくなってきた。
すると、芹沢さんが、部屋から縁側に飛び出してくる。
「芹沢さんっ!!」
私は芹沢さんの名を雨の音にかき消されぬよう、叫ぶ。
芹沢さんの後に続いて部屋から飛び出してきた土方さんと沖田さんは、一瞬驚いた顔をし、私を睨む。
「美奈、てめぇ…。」
「土方、よせ。
美奈には濃のとどめをさすよう頼んだのだ。
責める相手は美奈ではない。」
土方さんの言葉を遮り、芹沢さんが言い放った。
「さぁ、濃を楽にしてくれ、美奈。」
芹沢さんの一言で、私は刀を鞘からスラリと抜く。
そして、芹沢さんが目を瞑った時、私は芹沢さんの心臓を突いた。
刀を抜くと芹沢さんは血を吐き倒れる。
私は刀を放り出して、芹沢さんを抱き上げた。
「せり、さわ、さんっ…。」
芹沢は笑顔だ。
「美奈、濃の最後の願い、かなえてくれてありがとう。
今まで行ってきたことを後悔してはおらぬ。
美奈、お前は濃の分まで生きてくれ。
お梅に、愛しておったと、伝えてくれ…。」
そう言って芹沢さんは目を閉じた。
「芹沢さん、ありがとう。
いままで、ありがとうございました。」
私は、笑顔で芹沢さんを見送った。

