驚きで気恥ずかしさがさらに増す。

もう、顔が真っ赤でゆでだこ状態だ。
この熱を使えばお湯が沸かせるのでは?と言えるぐらい体温も上昇する。




すると平助君は私の耳元で


「美奈、綺麗だよ。

美奈が僕に黙ってこんな格好して皆に酌してたの知っちゃったら、僕、妬けちゃうなぁ…?」


そう囁いた。


より真っ赤になる私の顔。





「平助君、ごめん…ね?」


そういって私は謝る。

彼はほくそ笑んで、「今から他の人のところになんか行かないでね。」と言った。




――――――――――

宴会が終わりをつげる。

皆は酔っているためか、駕籠に乗って屯所に戻っていく。
土方さんや山南さん、総司に一君は大丈夫だったのだが、ほかの皆は酔っぱらって歩ける状態ではなかった。



僕だけ、美奈の着替えを待つために角屋に一人残り、ほかの皆は帰った行った。





そして今は屯所までの帰り道を美奈と二人で歩いている。




「はぁぁぁぁあああああ。」


と盛大なため息をつく美奈に、笑顔でどうしたのかと聞くと

「着物が重かった。」


と答えた。

僕は一言

「お疲れ様。」

と言い、この時代では珍しいが、美奈と手をつないで横に二人並んで歩いた。


美奈はやっと収まってきた赤い顔を、再び赤く染める。



そんな姿がとても愛おしい。



僕はそんなことを思いながら、屯所に着くまで手をつないだまま帰ったのだった。