「ほんとに大丈夫でしょうか…?」
「大丈夫やって!!」
私、美奈は今、舞妓さんに背中を押されてある部屋に向かっていた。
壬生浪士組の皆がいる部屋。
事の発端は少し前にさかのぼる。
私が沖田さんのところにお酌をしに行くと、向かいに座っていた平助君にべったりとくっついている舞妓さんを見た。
それで、私が嫉妬して、それに気付いた沖田さんが、
『平助をぎゃふんと言わせてみない?』
と言って、このことを提案してきた。
私かどうかわからないように変装、つまり舞妓姿になってぎゃふんと言わせる。
というものだ。
私に舞妓姿なんて似合うはずがないと思い、沖田さんに断ろうと思ったら、時すでに遅し。
もう舞妓さんに話をつけていた。
舞妓さんも沖田さんから事情を聞いたのか、快く承諾してくれ、私だって気づかれないように私の名前や、座敷での舞妓さんたちの礼儀などを教えてくれた。
もともと、覚えはよかったのでそこに苦労はしなかったのだが、私に舞妓姿が似合っているのか、それだけが不安だった。
これで気づかれてしまったら、沖田さんや手伝ってくれた舞妓さんに合わせる顔がない。
そんなことを考えていても、歩みは止まらず、すでに部屋の前まで来てしまっていた。
「失礼しますぅ。」
そう言って、舞妓さんが襖を開け、お辞儀する。
私も慌ててお辞儀をした。
「春どすぅ。
よろしゅう頼んます。」
そう言って舞妓さんが部屋の中に入っていく。
私も続いて舞妓さんの見よう見まねをしながら、挨拶をした。
「美雪どすぅ。
よろしゅう頼んます。」
私が顔を上げて、部屋に入り、襖を閉める。
そして、立ち上がると皆が私を見ていた。
平助君に至っては盃を落としている。

