「美奈、皆に酌して来いよ?」
という平助君の提案。
私がご飯ばかり食べて暇だと思ったのだろう。
「ん。じゃあ、お酌、してくるね?」
そう言って私は席を立ち、芹沢さんのところに行った。
「芹沢さん、お酌します。」
私は笑顔で言う。
「おぅ、美奈か。
目が覚めてよかったのぅ。」
そう言って芹沢さんは私の頭を撫でてくれた。
今では芹沢さんと私はなんでも話せる中。
皆から怖がられている芹沢さんは、実は根は優しくて壬生浪士組のことを一番に思っている。
毎日のように芹沢さんに呼び出され、話していくうちにそう思った。
こんなに優しい人が暗殺されるなんて信じられなかった。
いつも互いの愚痴を言い合って、笑いあう。
芹沢さんとの一時がとても楽しいものだった。
「芹沢さん、今まで隠し事していてごめんなさい。」
私は隠していたことを話し、謝った。
「気にするな。
そんなこと、なかなか話しずらかったのだろう?
謝る必要などない。」
そう言って芹沢さんは笑って許してくれた。
「美奈ぁ!!酌を頼む!!」
遠くから永倉さんが手を振っている。
「永倉さんは後でね!!」
そう笑って返事をした。
「美奈は人気者じゃのぅ。」
芹沢さんも笑う。
「ほら、近藤に酌をして来い。
いつまでも濃のところにいるわけにもいかんだろう。」
そう言われ、私は芹沢さんに一礼して近藤さんのところに向かった。