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今は屯所への帰り道。
すっかり暗くなった夜道を私たち壬生浪士組は歩いていた。
私は隊列の一番後ろをちょこちょことついて歩いていた。
すると、前の方から怒鳴り声が聞こえる。
二十人弱しかいない壬生浪士組の隊列からは、容易に前の様子を見ることができる。
「お前ら、何者だ!!」
土方さんが叫んでいる。
その相手を見ると、人とあまり変わらない容姿に角と牙。
それは、まさに鬼…。
「迎え、に来たの…?」
私が、その場を走り去ろうと後ずさった時、パキッという乾いた音が私の足元から聞こえてきた。
木の枝を踏んでしまった…。
あぁ、なんて私は運が悪いんだろう…。
この音によって、鬼に気付かれてしまった。
鬼が不敵に微笑む。
私が走り出すと、鬼の怪しい笑顔は確信の笑顔に変わり、私を追いかけてきた。
私はすぐに鬼に追いつかれる。
まだ皆とそう遠くない距離。
「やっと、やっと見つけた。
木花開耶姫なんだろう?
俺と幸せになろう?」
鬼が私の頬に手を添えて、冷たく微笑みながら言う。
「い、いやっ!!」
私はその手を振り払う。
鬼は一瞬悲しそうな顔をしたが、また微笑んだ。
「そっか。
じゃあ、今回は退こうかな。
次会うまでに、決めておいて。
僕とのこと。
断ったら、あの人たちがどうなるかわかってるよね?」
そう囁いて、鬼はどこかへ消えてしまった。

