文久三年八月。
これからの戦の大きな引き金となる八月十八日の政変が起こる月。
美奈は考え事をしていた。
八月十八日の政変…。
たしか、長州の人たちが京の都から追いやられることになった日。
多分、死者は出ないけれど、巡察はより一層ピリピリしてくるはず。
これから皆をどうすれば守れるのかな…?
今月は大きな戦にはならないけれど、この先、皆はどんどん死んで行ってしまう。
どうしたものか…。
私は考える。
考えて考えて考え抜いて、結果は出ず、それでお開きになってしまった。
「天皇様に直々に会うわけにはいかないし、かと言って、何もしなかったら皆死んじゃうし…どうしたものか。」
「何がどうしたものかなの?」
「ひゃぁぁっ!!」
私は振り返る。
そこには総司がいた。
そういえば、総司は池田屋事件で吐血するんだっけ。
「ねぇ総司、最近、変な咳出てない?」
「咳、ですか?
そんなもの、でてませんねぇ。
どうしたんですか?
私は見るからに健康じゃないですか。」
「うん、そうだね。」