私は気づいたら広間を出て走り出した。
後ろでは平助君が私を呼び止める声が聞こえたが、そんなのお構いなしに走った。
大和屋がどこかもわからない。
でも、行かなくちゃいけない。そんな気がして、走らずにはいられなかった。
屯所の門を出たころ、誰かに腕を掴まれていた。
後ろを振り返ると、そこには息を切らし、肩で息をする平助君。
「離してっ!!行かなきゃ…早く行かなきゃ!!」
私は掴まれた手を振り払おうとする。
だが、振り払おうとすればするほど、腕は強く掴まれた。
「美奈、落ち着け!!
一体何がある?俺に教えろ!!」
平助君に強いまなざしで見つめられる。
そこで私は我に返った。
「ご、ごめんなさい。
でも、はやく大和屋に…大和屋に行かないと…。」
そこで言葉を切る。
目の前にいる彼の顔を恐る恐る見ると、彼は笑っていた。
「大和屋だな?
ついてこい。」
そう言って彼、平助君は走り出した。
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走る、走る。
平助君の後を一生懸命追いかける。
彼を見失わないように。
暗い夜道を月の光を頼りに、追いかけた。
どれくらい走ったのだろうか?
大和屋が近くなってきたのか、真っ暗な夜空に向かって赤々としているものが見えた。
近くに行くと、周りには人だかりができていて、様子が全く分からない。
私たちはその人たちをかき分けて近くに行った。

