「でも、総司がなぁ…。」



土方さんがガシガシと自分の頭を掻く。
すっごく困ってそう。




―――だけど、待てよ?総司が一体何を吹き込んだんだ?

土方さんがこんなに困ってるってことは、相当やばいんだろう。



「「土方さん、総司に何吹き込まれたんですか?」」





私と平助君の声が被る。
私たちは驚いて顔を見合わせた。



その横で、私たちを見ていた土方さんがふっと微笑む。



「総司がな、お前らが夜、すっごく入りずらい恋仲特有の雰囲気を出しているから、部屋にいずらい。部屋を変えてくれってな。

部屋を変えてくれなかったら、孫子の代まで恨んでやるってな…。」




土方さんがやれやれといった様子で、ため息をついた。





まぁ、確かに沖田さんならやりかねない。
土方さんの身の危険がってことなのか。



「平助君、どうする?」


平助君に判断を促す。
私的にはどっちでもいいけど。




「じゃあ、これを機に、二人部屋にしてもらうか…。
そうしないと、土方さんもこれから先どうなるかわかんないし。」


「その方向で頼む。

俺はこれ以上問題ごとを増やしたくねぇ…。」



「「わかりました。」」




そうして、私たちは土方さんの部屋を後にした。

去り際に、土方さんは平助君に何か耳打ちしていた。
それを聞いた平助君がニヤッと笑って、こちらに近づいてきたことは気にしない、気にしない。




最近、わかったことがある。
まだ、確信的ではないけど…。





絶対、平助君には裏の顔がある。
昔からの仲間にしか、私にすらまだ見せてくれてない本当の姿を。