「おじゃまします。」
私は前川邸へと入る。
芹沢さんの部屋には初めて行く。
前川邸の一番奥のところに芹沢さんの部屋があった。
「野口です。玖龍さんを連れてきました。」
「おぅ、入れ。」
スッ
「失礼します。」
私は野口さんに一礼して部屋に入る。
襖を閉めて前に向き直り、頭を下げる。
芹沢さんの顔は見ずに。
「美奈、面をあげぃ。」
と芹沢さんが言ったので、私は頭を上げる。
私はにっこり笑って
「こんにち…は?」
と言う。だけど、語尾は上がり、疑問形になってしまった。
私が語尾が上がった理由。それは芹沢さんの隣にいる綺麗な女の人。
私は芹沢さんを見る。
「ハッハッハッ!!美奈、お主驚いておるのぅ。
わしの恋仲の梅じゃ。」
「どぅも。梅と申します。
どぅぞお梅お呼びくださいまし。」
「はぁ…。」
芹沢さん、あんな歳でこんなにきれいな恋仲がいるんだ…。
有り得ない。
だって、芹沢さん、見るからに初老は終えてるはずだよ!?
そんな人が、こーんなきれいな人連れてるなんて驚いたったらありゃしない。