水曜日の昼休み。

「なるほどねぇ・・・ハンちゃんが女子の手伝いなんて、フラれたやつらが怒るぞー?」
「しらん」

「「狩家に透!今日も勝負じゃぁっ!」」

隣のクラスの奴等が来た。
腕相撲の勝負だろう。

「おーし、来たな!」
「昼飯代稼ぎ行きますかー」

こいつらとの腕相撲は賭けが発生する。
基本昼飯代はこれで稼ぐ。
3000円稼いだころ、兎谷が話しかけてきた。

「あの・・・狩家くん?」
「何ー?」

珍しいな、と思い振り向くと、他の奴等も振り向いた。

「っ・・・」
「あ、ごめん。部屋変えようか」

手を引いて教室から出た。
女子からの怖い目線は知らないフリ。

「彼女?」
「いや、まぁ・・・あはは・・・」

透は何とかごまかした






「どうかしたのか?」

俺は空教室に入ると、すぐに聞いた。

「あ、はい。今日は委員会で先輩の所に行かないといけないんです。放課後は先に帰っていいですよ。」
「ん、わかった。で、その先輩ってのは・・・」
「男性・・・です」

昨日。
放課後話した俺の手伝いというのは、ただただ一緒に帰る、というものだった。
待つこともできるが、先に帰ってということは時間がかかるのだろう。

「ん、了解」
「では、それだけです」
「あ、ちょいまち」

教室を出ようとする兎谷を呼び止め、

「無理はするなよ?」

そう声をかけると、彼女は恥ずかしそうに頷くと教室から出て行った。