午前3時、先生のカオ。







「………………え」


 あたしの思考回路は、止まってしまった。

 ただ、耳が拾う田浦くんの声だけが入ってくる。



「いやぁ、めっちゃ可愛いじゃん?夏希ちゃんって。性格もいいし、すっげぇ好みなんだ」


 その言葉に、セリフに、突きつけられた現実。

 勝手に想像していたこととは、全く違う現実。



 自分が、恥ずかしくなった。

 そして、夏希を本気で殺したいと、また思った。


 田浦くんの惚気は止まらない。

「俺が夏希ちゃんの落としたプリントを拾った時さ、笑顔で『ありがとう』って言ったんだぜ?もう、めっちゃ可愛かったなぁ」


 止めて、ほしかった。


 ただ、黙って俯く。

 勝手に、涙が溢れだした。



「……だからさ、千夏。協力、してほしいんだけど」


 田浦くんはそんなあたしなんてきっと気にも留めてない。

 だからこそ言える、この言葉が。


 あたしの心をどうしようもなく締め付ける。



 あたしは耐え兼ねなくなって、走って教室を出て行った。

 田浦くんにぶつかってしまったけど、そんなの気にせず。










 ただ、胸が痛かった。