「………………え」
あたしの思考回路は、止まってしまった。
ただ、耳が拾う田浦くんの声だけが入ってくる。
「いやぁ、めっちゃ可愛いじゃん?夏希ちゃんって。性格もいいし、すっげぇ好みなんだ」
その言葉に、セリフに、突きつけられた現実。
勝手に想像していたこととは、全く違う現実。
自分が、恥ずかしくなった。
そして、夏希を本気で殺したいと、また思った。
田浦くんの惚気は止まらない。
「俺が夏希ちゃんの落としたプリントを拾った時さ、笑顔で『ありがとう』って言ったんだぜ?もう、めっちゃ可愛かったなぁ」
止めて、ほしかった。
ただ、黙って俯く。
勝手に、涙が溢れだした。
「……だからさ、千夏。協力、してほしいんだけど」
田浦くんはそんなあたしなんてきっと気にも留めてない。
だからこそ言える、この言葉が。
あたしの心をどうしようもなく締め付ける。
あたしは耐え兼ねなくなって、走って教室を出て行った。
田浦くんにぶつかってしまったけど、そんなの気にせず。
ただ、胸が痛かった。


