午前3時、先生のカオ。






 玲汰先生はあたしの気持ちを知っているのだろうか?


 相変わらず無表情なまま、

「うん」

 と、一つ返事をした。



 それが、あたしにとってどれだけ嬉しいことか。

 いつもと全く同じ玲汰先生の言葉は信用出来て、これからもこの家に来ていいんだと、居場所はなくならないんだと、確信することができるからだ。



 身構えていた分、心の底から安心したら我慢していた涙が溢れ出した。




「なんで泣いてんだよ」


 なんて言いながらあたしを鼻で笑う玲汰先生は相変わらず最低だけど、それでも、嬉しかった。


 この鍵は、あたしの心まで開けてくれたようだ。

 そして、もう二度と無くならない心の拠り所をくれたようで。


 もしかしたらこんなあたしにも救いの手が差し伸べられているのかと、勝手に勘違いしてしまう。





「あ、りがとう……」


 震える声で、そう感謝の言葉を言う。


 玲汰先生はそんなあたしを驚いたように見つめながらも、「おう」と返した。




「あ、でも」


 玲汰先生はなにかを思い立ったみたいにそう言った。



「勘違い、すんなよ。俺の立場は変わらないから。」


 あたしの涙が止まる。

 この人は、やっぱ最低だ。


 普通、泣いている生徒を前にそんな突き放したようなことを言うか?



 あたしの胸を温めていたそのカオは、一瞬にしてあたしの胸を冷やすカオに変わった。