何故か、玲汰先生が言いたいはずの言葉を否定した。
「え……?」
「まあ、最後まで話を聞け」
玲汰先生は、はぁ……と一息吐くと、話の続きを言い始めた。
「それに、お前はいつも職員専用の駐車場で待ってるだろ?あそこ、煙草吸う教師の溜まり場になってるんだよ。だからもし、お前といる所見られたりしたら……ヤバいだろ、色々と」
「………。」
だから、もう来ないって言っているのに……。
そう思いながらも、あたしはあえて何も言わずに話を聞いた。
「だから、お前もう俺ん家分かっているわけだし、これやるから先入っとけ」
玲汰先生はそう言うと、ポケットの中から何かを取り出して、あたしに投げる。
あたしは自然とそれに手を伸ばし受け取ると、手をゆっくりと開き、受け取ったものを見た。
「これ……」
あたしは驚いてしまって、必死に止めていた涙を一つ、零した。
手に持っているものに涙が落ち、銀色に光った。
あたしの手の中には、キーホルダーも何もついていない裸の鍵があった。
きっとこれは、いわゆる〝合鍵〟っていうやつだ。
「い、いいんですか?」
あたしは驚きつつも、来るなと言われたわけじゃなかったことに安心しながらそう玲汰先生に聞き返す。


