それから、食べ終えたあたしはお風呂を借り、上がってから髪も乾かして寝る準備を全て終わらせた。
ただ、何となく寝る気分にはなれなくて、テレビをただ見つめている。
でも、あたしはなんのテレビを見てるのか全然分からなかった。
眺めているだけ、だった。
目に映るのは、よく見る芸能人の笑顔、笑顔、笑顔。
それが営業スマイルというやつでも、あたしの心は苦しめられる。
耳に入ってくるのは、その人たちの笑い声。
なんの話かなんて聞こえないのに、それだけあたしは聞き取ってしまっていた。
そんな陽気なバラエティ番組であろうものとは正反対のあたしの気持ちは、真っ暗な海の底にいるみたいだ。
あの時、あの瞬間から、あたしは暇ができるとどうしてもあの言葉や顔を思い出してしまって、どうしようもなく自分を苦しめてしまっている。
暇が出来ないようにしたいけど、どうしても一日に一回はこういう時間が出来てしまう。
忙しいと気付かないけど、暇だったり空いている時間は意外とあるのだ。
そんなあたしの耳はもはや使い物にならなくなっていたけど、
「……い、林田。おい」
という声のおかげで、心ごと現実に戻って来れた。
だけど急に聴こえてきた声に驚き、あたしは勢いよく振り返る。
するとそこには、お風呂上がりだったんだろうか。
髪が濡れたままの玲汰先生が立っていた。
「あっ……上がったんですか」
「ああ」


