混乱する頭の中で、確かにそれだけ理解すると、あたしは体の緊張を解いた。
目の前にあるドアを開けると、見覚えのある殺風景な部屋が瞳に映り込んだ。
もうその部屋に見慣れたあたしは、ゆっくりと部屋の中に入って行く。
テーブルに乗った二つのコップは、あたしが一旦帰った時のまま残されていて、時が戻ったように感じた。
玲汰先生がすぐに追いかけて来てくれたことも、証明している。
そう思うと、不思議と嬉しくなった。
ソファに鞄を下ろすと、あたしはコップを二つ、手に持った。
そしてキッチンへ向かう。
そこで、いつの間にかリビングに入ってきていた玲汰先生が、
「ああ、ありがとう」
と、あたしが手にしているコップを見ながら言った。
あたしは顔を玲汰先生に向けると、小さく頷いた。
そしてキッチンに着くと、コップを台の上に置いた。
「ねえ、玲汰先生?」
「ん?なに」
少し大きめの声で玲汰先生に話しかける。
「ご飯、作ろうか?」
もう夕食時だし、泊まらせてもらうんだからこれくらいしないとと思ったのだ。
「ああ……」
玲汰先生ももうそんな時間だということに気付いたのか、そう声を出しながら考えた後、
「じゃあ、よろしく」
と言った。


