やっぱりあたしには、玲汰先生を理解できない。
もしかして、これはまたお泊りですか?
それを誘っているんですか?
教師、というもののイメージをいつも簡単に壊してくれるけど。
玲汰先生は、明らかに可笑しい。
人としての常識ってものが欠落しているように感じた。
「ちょ、それって……」
あたしは困惑したまま返事をする。
帰りたくは、ない。
玲汰先生といる方が楽だ。
でも、それは流石に悪いし、そもそもあり得ないことだ。
玲汰先生は相変わらず無表情で、いや、少し怒ったように、あたしに質問を投げ掛けた。
「じゃあ、どうすんの。どうせ、帰りたくないんだろ?俺が放って行ったら、そこで泣き続けるだろ?そんで通行人の邪魔になって?また警察に補導されて?また俺が、呼び出されて?んなの、面倒臭いじゃん。他にどうしろと?」
あたしはなにも言い返せなかった。
だって、その通りだと思ったから。
確かに、玲汰先生が去ったとしたら、またあたしは泣き出すだろう。
そしてまた、警察の厄介になるだろう。
理由はよく分かった。
でも、それと同時に、彼には〝面倒臭い〟以外の感情はないのではないかと疑ってしまう。
それはあえて黙っておいて、少し玲汰先生を見つめた後、
「じゃあ、お世話になります……」
と、小さい声で言った。


